オフシーズンには選手の移籍の是非で盛り上がるプロ野球。特に注目されるのがFA権を行使しての移籍、いわゆる「フリーエージェント」ですね。ドラフトで所属球団が決まるため、原則自分で球団を選べない野球選手が自ら球団を選ぶことができる権利であるFA権、取得条件はどのようになっているのでしょうか。
今回はFA権とは何か、FA権の取得条件やメリット、デメリットについて紹介します。
FA権とは
NPB(日本プロ野球)におけるFA権とは、選手が自ら望んでフリーエージェント、つまり自身の所属球団以外の球団と契約を結ぶことができる権利のことを指します。そもそも、プロ野球選手は基本的にドラフトで指名された球団を自らの意思で出ることは出来ず、自由に移籍するためにはFA権を獲得しなければならないのですね。
FA権はシーズン中に獲得し、シーズンオフの決められた期間(日本シリーズ終了翌日から土日祝を除いて7日以内)に申請することで権利を行使します。その後オフシーズンの間に交渉し、移籍となります。勿論自由に移籍できるとは言え、意中の球団から声がかからなければその球団への移籍は叶いませんよ。
FA権の取得条件は?



どんな条件がある?
現行のFA権の取得条件は、高卒でプロ入りした選手であればNPBで累計8年プレーすると取得できます。大卒や社会人などからプロ入りした選手であれば、NPBで累計7年プレーするとFA権を獲得できますよ。しかし、「ただNPBで7年、8年いればいい」というわけではなく、基本的に1軍にいなければFA権獲得までの年数を進めることは出来ません。
1シーズンにおいて、145日1軍に登録されると1年と計算されます。145日に満たないシーズンが1年あると、FA権獲得が1年遅れるというわけです。一軍に80日登録された年があって、その次の年にまた80日登録された場合は、1年と15日分FAまでのカウントが進むということになります。
海外FA権の取得は?
FA権にも二種類あり、前述の取得条件は国内FA権のもの。国内FA権を行使するとNPBの12球団と交渉することができますが、海外の球団と交渉することはできません。FA権を行使してメジャー挑戦するには海外FA権を行使しなければならないのですね。海外FA権の取得条件は、全ての選手一律でFAカウントを9年分進めること。中々重たいハードルです。
近年は海外FA権の取得よりも早くメジャーリーグへ挑戦する例が多く見られますが、これは「ポスティング」というまた別のシステムを利用したもの。ポスティングは選手ではなく球団の権利であり、選手は球団にポスティングシステムの行使をお願いする形となります。
FA権の再取得は?
FA権は、取得したシーズンに行使しなければその権利を維持することができ、翌年以降にFA権を行使することは可能です。一方で、一度行使すればその翌年にもう一度行使⋯⋯という訳にはいきません。一度FA権を行使した場合、再行使のためにはまた4年分FAカウントを進めなければなりませんよ。この条件を満たした時、以前に行使したのが国内FA権、海外FA権のいずれの場合も再取得する権利は海外FA権となります。
特例措置は?
FAカウントについてはいくつかの特例があり、例えばある年に145日以上出場登録されていた選手がその翌年の2月から11月にグラウンド上での故障によって登録抹消された場合、抹消からファームの公式戦出場までの日数のうち最大60日が出場選手登録の日数に加算されるというものがあります。故障者特例措置と言われますよ。
また、先発投手が登板翌日以降6日以内に抹消され、抹消から14日以内に再び一軍で先発登板した場合は、6日間の登録日数が加算されることとなります。これはペナントを戦う上での戦術「投げ抹消」に対応した措置ですね。
FA権のメリットは?
やはり選手が主導して移籍することができるのがFA権の一番のメリットです。メリットも何も、そのための制度というところはあるのですが⋯⋯他の手段で移籍しようとしても、トレードなどでは自分が望んだ球団に移籍するのは難しいですし、球団から必要とされる限りは自由契約もありません。
自由契約になった時は、つまりクビということで選手の能力が落ちているとされる時になるので、一番自分を高く売れるのはFA権を使っての移籍なのですね。
交渉の武器に
他球団からの評価を聞けるというのもFA権行使のメリットの一つ。最初っから少しも移籍する気なくFA権を行使するのはよくないかもしれませんが、他の球団の評価を聞いた上で元の球団に残ることも可能なので、自身の市場価値を知るためにFA権を行使するという例もあるでしょう。
また、FA権は行使せずとも大きなメリットがあります。チームの主力選手に移籍して欲しくない球団は、FA権獲得が見えてきた選手に好条件を提示しやすくなります。FA権獲得、及びFA権獲得前年に年俸が大きく増えたり、長期複数年契約を勝ち取るという選手も多くいますよ。
FA権のデメリットは?



メリットは分かったけどデメリットは?
FA宣言した選手の翌シーズンの年俸は、原則移籍直前の年俸が上限となります。そのため、FA移籍翌年に大幅な昇給は望みにくいというのがFA権行使のデメリット。行き過ぎたマネーゲームを防ぐための決まりなのですが、出来高の条件についての制約はなく、更に複数年契約を結んだ際の二年目以降の年俸にも制限はないため、それらを駆使して帳尻を合わせる事が可能なのです。この初年度の年俸のルールがどこまで意味のあるものなのか、少なくとも選手にとっての大きなデメリットとは言えないでしょう。
FA移籍選手には契約金が発生することも多く、これは翌シーズンの年俸の半額が上限。よりこのデメリットを軽減する決まりですね。
FA移籍には補償が発生
これはFAで移籍する選手当人のデメリットとは言いづらいですが、FA移籍の際には補償が発生します。FAで移籍する選手には、元の球団での日本人の年俸の順位でA、B、Cのランクが決まっており、A、Bランクの選手が移籍する際には、移籍先の球団から移籍元の球団へ人的補償選手一人と規定の金銭を譲渡しなければなりません(人的補償選手については、かわりに更に金銭が譲渡されるケースもあります)。
特に「プロテクトした28人以外の選手から、移籍元球団が選んだ選手を寄越さなければならない人的補償」が重く、特にBランクの選手は移籍がしづらくなっていると言われています。Cランク選手の移籍には補償が発生せず、Cランクの選手は人気が出やすいのですね。
FA権取得選手は?
2025年には18人の選手が新たに国内FA権を取得、海外FA権は12人が取得し、有資格者は104人になったと報じられました。中でも、8月に国内FA権を獲得した近本光司選手は、オフにタイガース残留を決断、5年総額25億円という球団史でも最大規模と言われる契約を結びましたよ。
他には松本剛選手が新たに取得しジャイアンツに移籍、山岡泰輔選手や高梨裕稔選手などは取得したものの残留、東浜巨選手と辰己涼介選手は取得し行使するも移籍はしませんでした。
出展:虎バン 阪神タイガース応援チャンネル ABCテレビ公式
最後に
今回はFA権とは何か、FA権の取得条件やメリットデメリットなどについて紹介しました。FA権については他にも様々な細かいルールがあり、例えば「一つのチームが同年に獲得できるBランク以上の選手は二人まで」と決まっています。ですがこのルールもFA宣言をした選手が21人以上の時は三人まで獲得できるようになるなど、FA関連には例外事項も多く完全に把握するのは難しいところがあるのですね。
















