野球において「完全試合」は、数ある記録の中でも最大級の偉業のひとつとされています。ニュースや中継で「完全試合達成」という言葉を耳にすると、その希少性や難易度の高さに注目が集まります。しかし、同時に「ノーヒットノーランとの違いがよく分からない」という声も少なくないのが実情です。
本記事では、完全試合とは何かという基本定義から、ノーヒットノーランとの明確な違い、達成条件、歴代の達成者、日本と海外の記録比較までを詳しく解説します。
完全試合とは?
完全試合とは、先発投手が試合終了まで、相手打者を一人も出塁させないまま勝利する試合のことを指します。
具体的には、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 被安打ゼロ
- 四死球ゼロ
- その他、失策等による出塁ゼロ
つまり、相手チームの全打者を完全に封じ込めた状態で9回を投げ切る必要があります。
ノーヒットノーランとの違いは?



ノーヒットノーランとは何が違うの?
完全試合と混同されやすい記録に「ノーヒットノーラン」がありますが、両者には明確な違いがあります。
ノーヒットノーランとは、被安打がゼロのまま試合を終えることを指します。被安打がゼロであれば良いので、以下は認められます。
- 四死球
- 失策による出塁
- 犠打・犠飛による進塁
つまり、ヒットさえ許さなければ、たとえランナーが出ても成立し得るのがノーヒットノーランです。
一方で、完全試合はランナーの出塁自体許されないため、ノーヒットノーランよりもはるかに条件が厳しい記録ということが分かります。
日本プロ野球(NPB)における完全試合の歴史
日本プロ野球では、完全試合はこれまで非常に限られた回数しか達成されていません。その希少性ゆえに、達成者は長く語り継がれる存在となります。
完全試合の特徴
日本プロ野球界では、完全試合は何年も達成されないことがあります。達成した投手のキャリアの代表的実績となります。また、基本的には先発投手が完投することで達成されるため、主に先発投手にとっての栄誉と見なされます。
しかし、特に近年は打者のレベル向上や投球数管理の影響もあり、達成難易度はさらに高まっているのが実情です。
主な完全試合達成者
日本プロ野球で完全試合を達成した投手は過去に16人いますが、複数回達成した投手はいないため、記録自体も16例のみとなっています。いずれも公式記録として認められており、その試合内容は現在でも語り草となっています。
直近では、現在MLBのドジャースで活躍する佐々木朗希がロッテマリーンズに在籍していた2022年に達成しています。28年ぶりの大記録であったこともあり、SNSやニュースで非常に大きな反響を呼びました。
以下が歴代の達成者一覧です。
| 選手名 | 所属球団 | 達成年 |
| 藤本英雄 | 巨人 | 1950年 |
| 武智文雄 | 近鉄 | 1955年 |
| 宮地惟友 | 国鉄 | 1956年 |
| 金田正一 | 国鉄 | 1957年 |
| 西村貞朗 | 西鉄 | 1958年 |
| 島田源太郎 | 大洋 | 1960年 |
| 森滝義巳 | 国鉄 | 1961年 |
| 佐々木吉郎 | 大洋 | 1966年 |
| 田中勉 | 西鉄 | 1966年 |
| 外木場義郎 | 広島 | 1968年 |
| 佐々木宏一郎 | 近鉄 | 1970年 |
| 高橋善正 | 東映 | 1971年 |
| 八木沢荘六 | ロッテ | 1973年 |
| 今井雄太郎 | 阪急 | 1978年 |
| 槙原寛己 | 巨人 | 1994年 |
| 佐々木朗希 | ロッテ | 2022年 |
継投での完全試合
日本プロ野球では、規則上は複数投手による完全試合も記録として認定可能とされています。
2007年の日本シリーズ第5戦で、中日ドラゴンズの先発の山井大介投手が8回まで完全投球を続けた後、9回からストッパーの岩瀬仁紀投手に交代し、史上初の「継投による完全試合」が達成されたというケースがあります。
ただし、継投での完全試合の達成例はこれだけのようです。
メジャーリーグ(MLB)における完全試合
MLBでも完全試合は極めて稀な記録です。MLBの100年以上の歴史を通して見ても、達成者数は24人とごくわずかであり、達成数はノーヒットノーランに比べて圧倒的に少なくなっています。
また、達成者の中には、後に殿堂入りをしている投手も多くいます。完全試合とは、それほど偉大な投手であってもめったに成し遂げることができないということです。
とりわけ近年のMLBでは、日本プロ野球以上にデータ野球が進化しており、極端な守備シフトなども影響して完全試合が達成されなかった事例もあります。
また、MLBでは完全試合は単独投手によるもののみが公式記録として扱われるのが日本プロ野球との違いです。ただし、実際には過去を遡っても継投で完全試合が達成された事例はないようです。
なぜ完全試合が「奇跡」なのか
完全試合はしばしば「奇跡」と形容されます。実際に日本プロ野球でもMLBでも達成例は極めて少ないですが、実際のところ、どういった点に難しさがあるのでしょうか。
完全試合が難しい理由
完全試合が極めて難しい理由は、投手の能力だけでなく、チーム全体の完成度が求められる点にあります。
- 投手の制球力・スタミナ
- 捕手の配球
- 野手の守備力・集中力
- 長時間の緊張状態への耐性
これらすべてが9回にわたって完璧に噛み合わなければ、完全試合は成立しません。そのため、「奇跡」とまで呼ばれるのです。
主な「完全試合が崩れる」瞬間
完全試合が射程に入ってくると、試合終盤になるほどプレッシャーが高まります。
特に、以下のようなほんの小さな要因で、惜しくも完全試合を逃すケースは非常に多く、「あと一歩」の重みを感じさせます。
- 7回以降の四死球
- 内野安打
- 守備のわずかなミス
完全試合達成後の影響
「奇跡」とまで呼ばれる完全試合を達成すると、メディア露出の増加、球団内での評価向上、ファンからの支持拡大など、達成投手の注目は一躍全国規模になり得ます。
ただし、その後のキャリアについては個人差があり、完全試合が必ずしも長期的成功を保証するわけではありません。
まとめ
完全試合とは「一人の走者も出さない試合」であり、「奇跡」とも呼ばれます。
ノーヒットノーランよりも一段と条件が厳しく、投手だけでなく野手の貢献も不可欠であるため、チームスポーツの記録としては究極のものと言えそうです。
とうぜんながら、日本プロ野球でもMLBでも達成例は極めて少なく、達成者の多くは野球史に名を残しています。
次に野球の試合を観るときは、一人目の出塁者がいつ生まれるのかにも注目してみてくださいね。









